大阪の天ぷらうどんと言えば木の葉形の衣ばかりのえび天と相場が決まっているが、この手の普通のえび天をのっけてくれるお店も当然多い。値段違いで両方置いているお店すらもある。
さて、九条駅前の立ち食いうどんは、ご覧の通りの普通のえび天だ。でかいえびが食べれるという意味においては嬉しいチョイスかもしれないが、これを上手く食べる方法がなかなか難しい。衣の多い天ぷらのセオリーである「天ぷらにはあまり手をつけずに麺だけを先にすする技法」がそのまま通用する相手ではないのだ。
問題となるのは衣の絶対量の少なさと、それに反して決して小さくはないえびの身の存在だろう。これを適切なタイミングで処理しようとすれば、高度なバランス感覚が要求されるのは間違いない。
例えば同じネタものでも、きざみうどんに対してはただ漫然と食べることが許されるが、これが普通のきつねうどんとなれば食べる人間の思想や技量が大きく問われる。
同じ揚げでも形状の違いがうどんそのものの在り方さえも変えてしまうのだ。この二種類の天ぷらの違いはこれ以上の難問であるのは間違いがない。かき揚げうどんのほうがまだ頭を悩ませる必要がなかったであろう。
そういう意味においては、きつねうどんをチョイスしておくのが無難な立ち食いうどん店というのは、確かに存在するようである。