新千歳空港→釧路→根室ときた北海道三日目。
釧路駅発の朝の気車を使い網走方面へと向かう予定。
といってもダイヤの薄い北海道のことなので始発の時間といってもそんなに早い便は無いのだ。張り切って準備を整えホテルを出たものの少し時間を持て余してしまった。
釧路駅のちかくに和商市場という観光向けの市場があったのを思い出したので、気車の待ち時間を利用して見学に行く事にした。こういう時は市場というのは朝が早いから便利なのものである。市場の建物にローソンが併設されているのも今時っぽくて面白い。
和商市場は
勝手丼といわれるものの発祥の地としてなかなか有名な市場らしい。勝手丼というのは郷土料理という説明で良いのかどうかわからない。ようするに市場のそれぞれで買ってきた好きな魚介類を、別売りのどんぶり飯の上に好きに乗っけてもらって食べるというスタイルが勝手丼の正体であり、特定の構成の料理を指し示す言葉ではないのだ。
ここの和商市場もよくある魚市場と何ら変わりはない。
少し違うのは勝手丼を推奨するお店がたくさん並んでいること。和商市場の多くのお店では魚やウニなどを、試食品のトレーくらいのサイズに小分けにして販売しており、それをあなたの勝手丼を構成するパーツとして採用してみてはどうかと、そういう売り込みをかけてくる。
たとえば、場内の飲食店でこのように勝手丼用の丼飯の販売をやっている。他にも飯を販売している惣菜屋がいくつかある。そういうポイントで丼飯を調達して勝手丼に臨むわけである。
ご飯が小盛120円、中盛240円、大盛300円。
刺身のトレーが300円平均なので1500円くらいみておく必要があるだろう。
2000円以内でそれなりに見栄えのする海鮮丼が食べれるというのは安いのか高いのか。もちろんウニやイクラが大量に乗ったようなものを作るといくらでも値段は跳ね上がる。このあたりは実際にやってみないと何ともいえない。
場内で食べれる普通の海鮮丼の値段はこんな感じだった。ウニ丼の時価ってところがそれらしい。この日は3150円か。ウニ山盛りならそれくらいのもんか。そして高い丼の値段が……
これ丼の値段か?という表示になっている気がするがきっと幻なのだろう。こういうものの値段が高いのか安いのか自分にはよくわからない。(こういう時にいつも思い出すのは北海道でウニ丼を
嫌ってくらい食べて帰ってきたという東西新聞社の山岡&栗田。さすがバブル期)
出発前の時間に寄ったこともあり、デカいリュック背負って旅行客丸出しで回っているので、行く先々のお店で勝手丼の勧誘が物凄い。覚悟はしていたけど。冷やかしで見てるだけなのが申し訳ないくらい熱心にあれこれ勧められる。おかげで写真を撮影するのもままならない。
カニ類が気になった。やっぱり根室のスーパーと比較すると倍くらいも値段が違う。観光客向けの市場と、地元のスーパーでは勝負にならないのは仕方がないか。ということは他の魚介類もそれなりにいい値段なのかも。
適当に見て回っているうちに時間になったので釧路駅に戻る。勝手丼は結局食べなかったのである。朝からどんぶり飯で魚介を食べたい気分ではなかったし。観て楽しんだ。これもひとつの観光だろう。だいたい食べている時間は無かった。
そう、最初から無かったのだ。
快速しれとこ号で網走に。
この快速しれとこは釧路と網走を一日一往復だけする気車。北海道はそんなのばかりだ。
この側面の行先票のついている車体は日本でも珍しくなっているらしい。
より正確にいうと、この快速運転する一両編成のディーゼルエンジン2基搭載の国鉄キハ54形気動車のステンレス製ボディの側面に差し込まれた行先票は
「サボ」とよばれる板で、運行ごとに人力で板を抜いていちいち差し替えしなければならないなど、色々に手間のかかる前時代的性質であることから既に廃止されており、このように未だに使われているのは北海道を含む一部地域路線のみという、わりと貴重なものなのである。ちなみに
「サボ」という言葉はサインボード、サイドボード、サービスボードなど複数の説があり複数の意味が込められている可能性もありなかなか味わい深い。
そう考えてこの側面の板を眺めると感慨深いものがあるような……。いや、見て面白いものじゃないわやっぱり。
網走編?に続く。