バンボシュ南風原店で満足するまで食事して、らぼさんに車で送ってもらう。南風原町は那覇市の隣ではあるものの、僕らがうろちょろしている国際通りや開南や壺屋といった区域から、歩いて行き来するにはちょっと面倒な距離である。らぼ氏には感謝である。車が無いとほとんど移動が困難だといわれる沖縄で、免許をもっていないてっちゃんと、車の運転にまったく興味のない僕であるから、らぼ氏が車を出してくれるのでどれほど助かったかわからない。
らぼ氏が帰ってからは、僕とてっちゃんは居酒屋に飲みに行く。もしかしたら他の人も来たかもしれない。何時もの100円生ビールの、ぼんぢりや三原店だったと思う。あまり記憶がない。なにしろ去年の話だ。けれどその日その日の最後に飲みに行かないはずがないからきっと行ったはずだ。こんな時間から行く店もだいたい決まっているから、ぼんぢりやに違いない。
この晩はどんな話をしただろうか。けっこう遅くまで飲んでいたようだ。てっちゃんと何回飲みにいっても、まだぜんぜん飲んでないようにも思える。話したいことが多すぎるわりに、ちっとも話せていない気がする。飲んでいる最中だと肝心な話が口をついて出ない。こういう事は他の人にもあるのだろうか。てっちゃんがペースを考えずに生ビールをぐいぐい飲むのが悪いのかもしれん。そういうことにしておく。
深夜の壺屋を歩いて、むつみばし商店街のあたりから歩いてホテルに帰る。夜中に歩いていると、蒸し暑さでシャツがずぶ濡れになってくる。夜の時間にここの商店街の路地をのぞくと、毎回おなじオジサンが同じ台の上で裸で寝ている。暑いから外で寝ているというのでなければホームレスなのだろう。日焼けしたホームレスの身体が据え付けの家具みたいに思えてしまう。いつ沖縄にきても、同じような時間に同じ場所で見ているはずだ。次に行った時に見なくなったらちょっと寂しい。なので出来るだけ長いこと寝ていて欲しい。
商店街を入り口まで歩いて夜の国際通りに出る。車の交通はあるがその他はほとんど何もない。コンビニと居酒屋くらいは開いている。国際通り沿いにある居酒屋はたいていビルの上のフロアで目立たない。この時間の国際通りなんてコンビニくらいしか明るい建物がない。それこそこの時間だと桜坂なんかのほうがいくらか活気がある筈だ。時代遅れの社交街とはいえ。
本当に沖縄で深夜まで遊びたいならば松山の方へ行ったほうが良い。国際通りからも歩いて行ける。しかしキャバクラやクラブみたいなものには興味が無いから、僕らはほとんど近寄ることもないけれど。
この日も閉店後のバンボシュ国際通り牧志店をチェックして帰る。ホテルが近いのだ。ホテルの部屋に戻ったら、朝に干していた下着類が完全に乾いていた。この時ばかりは暑いのに感謝する。ずぶ濡れのシャツは明日の朝に洗って干しておこう。