名古屋駅ホームできしめんを補給して、浜松駅に向かうアニワギ博士と僕。
昨日に引き続いて東海道本線の同じ区間を往復することになる。
鉄道旅としては極めて面白くないが仕方がない。
久方ぶりの浜松駅。駅前にこのような庭園があったのは記憶になかった。もしかして新しく出来たのだろうか。僕が前に来た時はウナギイヌくらいしか無かったように思う。
ここから送迎バスに乗って浜松オートレース場に向かうわけだが、バスターミナルの案内板には、オートレース行きの表示はされていなかった。事前に調べていた浜松オートレース場のHPの案内にしたがってたどり着く。なんだか秘密めいている。
送迎バスはまずまずの人。ほとんどが高齢者。僕とアニワギ博士が隣同士で座るくらいの余裕はあった。車内の古いテレビモニターではオートレースの中継がずっと流されている。もうレースが始まっているのかと思えばそうでもなかった。前日だかの録画を放映しているのだ。そんなもの見てどこが面白いのかなんて言ってしまうのは、ギャンブルとしてしかオートレースを考えてない人間なのだろう。このバスに集っている年季の入った人たちはオートレースにドラマを見ている。つまり勝ち負けの結果だけでなく、内容も重要なのだ。予想の根幹を支えているのは、そういうドラマの文脈なのだ。たぶん。知らんけど。
そうはいっても、オートレースに向かうというバスの中で、オートレース映像を見て気分を盛り上げていくのも悪くないものだ。浜松駅から浜松オートレース場までは15分程度かかる。どこをどう走っているかさっぱりわからないけど、スピーカーからえんえんと流れるバストはまた別のエンジン音を聞かされていると、自分たちがオートレース場に向かっているという意識だけはしっかりしてくる。間違いなくこのバスはオートレース場に向かっている。
浜松オートレース場に到着。
オートレース場に来るのは、川口オートレース場につづいて2回め。
何年も前になるので、川口との比較はちょっとわからないけど、浜松オートレース場の印象は、古びた幼稚園か小学校にでもやってきたみたい。ギャンブル場に学校をイメージするのもおかしなものだけど、これが公共の建物がもつ共通の雰囲気というやつだろうか。僕が通っていた頃の学校というのはこういう建物が多かった。今もまだ多いのかもしれない。
オートレースという騒音が凄い競技なのもあって、街から離れた郊外に位置している。帰りのバスは9レース後(15時くらい)にしか来ない。つまりそれまでは軟禁状態のようなもの。最低それくらいは遊んでいけということだ。
ここでも予想紙は2紙出ている。なぜか必ず2紙。独占禁止法的な何かだろうか。よくわからない。昨日のボートも買わなかったが、今日も買わずにスルーしてしまった。どうにも値段ほどの価値があるようには思えない。これが400~500円はして、けっこう高いのだ。
100円を払って場内に入る。
賑やかしい飾り付けはしているものの、いかんせん古びた施設である。終わったバザー会場に駆けつけたみたな、投げやりな空気が漂っている。鉄火場とは思えない弛緩した空気だ。これはよくない。我々のオートレースはこれからなので、もっと盛り上げていかねば。
古びた建物ではあっても、それでも浜名湖競艇場に比較すれば、ごちゃごちゃしてるぶん、古くからの店なんかは多そうである。
さっそく、打ち捨てられた観光地の土産物コーナーのような売店を見つける。提灯なんかぶら下げてそれなりに活気がある感を演出している。こういう演出は案外大切だ。売っているのも、大袋の塩せんべいとか、太鼓せんべいみたいなんとか、たこせんべいとか(せんべいばっかりか!)、さくらぼく(静岡特有のデカい麩菓子らしい)とか、普段はあんまり手に取らない地味なお菓子ばかりというのも面白い。こんな時に買いたいものなんかひとつもないけど(お年寄りは買いたいものなのか?)悪くは無い。
広場のほうにもあれやこれやと店がありそうだ。ちょっとは期待して良いかもしれない。時刻はちょうど11時。第一レースが終わったくらいだ。まだまだ先は長い。
つづく。