今週はSF小説の古典『宇宙の戦士』です。
番組では原作版の設定を中心に解説しましたので、ここでは1997年の映画版『スターシップ・トゥルーパーズ』の話を中心に紹介したいと思います。ラジオ収録後に戦硫酸たちとこの映画のDVDを鑑賞しました。あらためて見返してみると、わりと細かい部分まで原作の設定を活かした映画化だったことがわかります。主人公リコの相棒のキャラの好きなものがバイオリンだったりとか。
監督はポール・バーホーベン。同監督の作品『トータル・リコール』に敵役で出ていたマイケル・アイアンサイドが、今回も美味しい役で出演しています。わかりますかね。印象的な禿の人です。
映画版の最大の特徴としましては、原作での最大の売りであるパワード・スーツが登場しないということ。これをもって映画版をダメだと言い切ってしまう原作ファンもあるようですが、それは些か早計というものでしょう。鉄兜ひとつで敵惑星に突撃する歩兵部隊というのも、映画的ビジュアルとしてはぜんぜんアリですし、そのおかげで人体バラバラの残酷描写もふんだんに盛り込まれていて見ごたえとしてはかなりのものがありました。
映画のほうを細かく見ている人はバーホーベン監督の原作愛というものが伝わってくると思います。原作の各種設定をふまえたうえで、現代のアメリカ等に代表される戦争プロパガンダを皮肉った映像を随所に入れたり、ビバリーヒルズ高校白書をパロディにしたかのような薄っぺらい青春ストーリーを軸にした構成にしたり、あえて現代風にリファインを施していると解釈するべきでしょう。実は原作のほうは、さほど物語性の高い代物じゃないのですね。ですからこういう変更は映画人としては適切な判断だったと考えられます。
クモエイリアンと、歩兵の血みどろの肉弾戦が見どころの映画版。
連邦軍歩兵の主力武装”モリタ式アサルトライフル”の射程距離の短さときたら噴飯ものです。未来の軍隊が鉄兜ひとつで宇宙に出撃するのも爽快だけれど、まるで槍でつっかかるような距離でしか発砲できないこの未来のライフルも凄すぎます。兇暴極まりないクモエイリアンに対して、簡単に手の届く間合いまで突撃して、結局はバラバラにされてしまう連邦軍兵士の悲壮感ときたら。バーホーベン監督の意地悪さが見え隠れして楽しいですね。
こういうブラックな味付けも本作の最大の魅力。
見てない人がいたらぜひこの映画版『スターシップ・トゥルーパーズ』をどうぞ。
もえラジ+
http://www.voiceblog.jp/motemote/
2009/01/10 今さら知りたい「宇宙の戦士」
【SF】「宇宙の戦士」とは!?
【映画】映画化もされたぞ!
【SF】宇宙の戦士はテレビ通販みたいな話!
出演 ぶたお 戦硫酸